【2025年最新】今後の中古車市場の動向を徹底解説 - 価格下落と構造変化の真実

2025年中古車市場の現状分析
登録台数の推移と市場規模
2025年の中古車市場は、前年からの成長基調を維持しながらも、季節要因による変動が顕著に現れています。2025年4月の中古車登録台数は544,174台となり、前年同月比で100.7%と微増を記録しました。これは3ヶ月ぶりの前年超えとなり、市場の底堅さを示しています。
一方で、新車登録台数は342,878台と前年同月比110.5%の大幅増加を示しており、これが中古車市場にも間接的な影響を与えています。新車の登録台数増加は、下取りや買取による中古車の供給増加につながり、結果的に中古車相場の下落要因となっています。
季節性の特徴と市場サイクル
中古車市場には明確な季節性があり、3月と9月の年度末・半期末に需要が集中する傾向があります。2025年3月は776,885台と年間最高水準の登録台数を記録した後、4月は例年通り大幅に減少しています。この季節変動は、決算期の法人需要や転勤・入学に伴う個人需要が影響しているためです。
オークション価格の動向分析
相場下落の実態
2025年の中古車オークション市場では、価格下落が鮮明となっています。USSオークションの平均成約価格は、2月の126万円をピークとして継続的に下落し、5月には118.4万円まで低下しました。

この価格下落は、特に3~5年落ちの車両で顕著に現れており、2023年と同水準まで値を下げています。6~10年落ちの車両では、2023年の数値を下回る価格帯も散見されるようになっています。
成約率の変化と市場心理
価格下落と並行して、成約率も低下傾向にあります。2025年2月の66.0%から5月の61.9%まで段階的に低下しており、買い手の慎重な姿勢が表れています。それでもなお高水準を維持しており、中古車市場全体としては台数不足が解消されつつあるという見方もできます。
人気車種の相場変動
特に注目すべきは、アルファードやヴェルファイアなどの高級ミニバンの相場急落です。これらの車種は海外輸出需要に支えられて高値を維持していましたが、主要輸出先であるマレーシアでの車両供給過多により、相場が急激に下落しています。
海外輸出市場の構造変化
輸出先別の動向
日本の中古車輸出は2024年に95万台超となり、前年比5.9%の増加を記録しました。輸出先のランキングでは、ロシアが199,085台で首位を維持し、UAEが198,944台で僅差の2位となっています。

地政学的影響と為替要因
ロシア向け輸出については、経済制裁によるルーブル安の影響で前年同月比で減少していますが、過去の経験から数ヶ月後には回復する見込みとされています。実際に2025年4月中旬時点では制裁前の数値を上回っており、市場の回復力の強さを示しています。
一方で、コンテナ船の輸送費下落により、アジアやアフリカ諸国を中心とした輸出は好調な動きを見せています。しかし、スエズ運河やパナマ運河での海運混乱による輸送コスト上昇も懸念材料となっています。
輸出単価の地域格差
輸出先による平均単価の格差も顕著です。マレーシア向けは1台当たり431万円と高額な一方で、チリ向けは35万円、UAE向けは44万円と大きな差があります。これは各国の経済水準や輸入規制、再輸出の有無などが影響しています。
新車供給回復の影響
トヨタの生産正常化
2025年1月にトヨタの新規受注が再開されたことは、中古車市場に大きな影響を与えています。認証不正問題で一時停止していた生産の正常化により、新車供給が増加し、買い替えが促進されることで中古車の供給増加につながっています。
半導体不足からの回復
長期間にわたって新車生産を制約していた半導体不足も徐々に解消されつつあります。これにより新車の納期短縮が進み、中古車への代替需要が減少する要因となっています。
電動車の普及と中古車市場への影響
EVの中古車市場参入
電気自動車(EV)の普及が中古車市場にも変化をもたらしています。新車でEVを購入した消費者の買い替えにより、中古EVの流通が増加しつつあります。
しかし、中古EVの価格は急激に下落しており、アメリカでは中古EV価格がガソリン車を下回る現象も発生しています。日本でも同様の傾向が見られる可能性があり、バッテリー性能や充電インフラの整備状況が価格に大きく影響することが予想されます。
ハイブリッド車の位置づけ
カーボンニュートラル政策の影響で、2035年頃にはガソリン車の新車販売が規制される方向性が示されています。しかし、ハイブリッド車は電動車として位置づけられているため、中古車市場での需要は当面維持される見込みです。
デジタル化とオンライン販売の拡大
オンライン販売の市場規模
世界のオンライン自動車購入市場は2021年に2,560億米ドルと評価され、2030年までに7,220億米ドルに達すると予想されています。年平均成長率12.21%で成長しており、日本の中古車市場でもデジタル化が急速に進んでいます。
消費者の意識変化
中古車のオンライン購入に対する抵抗感は年々減少しており、全体の56%の人が「通販での購入に抵抗感がない」と回答しています。特に新型コロナウイルスの影響で非対面販売への需要が高まり、この傾向は今後も継続すると予想されます。
消費者ニーズの変化と市場セグメント
価格帯別の需要動向
最新の調査によると、中古車購入予算として90万円から100万円を希望する消費者が19.7%で最多となっています。これは物価上昇や将来不安により、消費者の価格志向が強まっていることを示しています。
車種別の人気動向
ボディタイプ別では、軽自動車が28.8%でトップを維持していますが、前月比で2.6ポイントシェアを落としています。コンパクト・ハッチバック車が15.2%で3位となり、0.8ポイント上昇するなど、実用性重視の傾向が強まっています。
年代・性別による購買行動の違い
60歳以上の女性では29.8%が比較検討せずに車を購入しており、販売店との関係性が重視される傾向があります。一方、30歳未満の女性は3車種以上を比較する割合が26.2%と最多で、慎重な検討を行う傾向が見られます。
サブスクリプションサービスの台頭
カーサブスクの市場拡大
車の所有から利用へのパラダイムシフトが進んでおり、カーサブスクリプションサービスが注目を集めています。月額29,800円から利用できるサービスもあり、初期費用を抑えたい消費者のニーズに応えています。
中古車サブスクの特徴
中古車サブスクリプションでは、新車リースよりもリーズナブルな料金設定が可能で、保証内容や走行距離制限が選択のポイントとなっています。定額カルモくんの中古車リースでは、全車1年の故障保証と車検2年が付帯されており、安心感を重視する消費者に支持されています。
今後の市場展望と予測
短期的な見通し(2025年下半期)
2025年下半期は、新車供給の安定化により中古車相場の調整が続く見込みです。特にプレミアム価格が付いていた車種では、正常な価格水準への回帰が進むと予想されます。
中期的な構造変化(2026-2030年)
カーボンニュートラル政策の影響で、ガソリン車の中古車価値について議論が活発化していますが、2030年代半ばまでは現在の車両でも継続利用が可能とされています。むしろ希少性から価値が上昇する車種も現れる可能性があります。
長期的な市場変革(2030年以降)
オンライン販売の更なる拡大、AI活用による価格算定の高度化、サブスクリプションモデルの普及など、中古車市場の構造的変化が加速すると予想されます。
まとめ
2025年の中古車市場は、価格下落局面に入りながらも、市場規模は安定的に推移しています。新車供給の回復、海外輸出環境の変化、デジタル化の進展など、複数の構造変化が同時に進行しており、従来の市場サイクルとは異なる動きを見せています。
消費者にとっては、価格下落により購入機会が拡大する一方で、車種や購入タイミングの選択がより重要になっています。特に予算90-100万円のセグメントでは選択肢が豊富になり、軽自動車やコンパクトカーの需要が高まっています。
今後の中古車市場は、従来の所有から利用への転換、デジタル技術の活用、環境対応車への移行など、多面的な変化を通じて新たな段階に入ることが予想されます。市場参加者は、これらの変化を適切に把握し、戦略的なアプローチを取ることが重要となるでしょう。